○南山城村議会ハラスメント防止条例

令和6年3月8日

条例第15号

村民から負託を受けた村議会議員及び村長並びに全ての村職員は、村政に携わる権能と責務を深く自覚し、公共の福祉の増進という地方自治の本旨を体現するとともに、住民全体の奉仕者として住民福祉の向上に努めなければならない。ハラスメントは、他者に対して行われる極めて悪辣な行為であり、ハラスメントに対する無自覚によって相手に被害を与える「人権侵害」である。

また、ハラスメントは基本的人権、個人の尊厳を著しく傷つけ、議会活動に支障をきたし、議会の社会的信用及び信頼を失うことにつながる。特に村職員や住民に対するハラスメントは、不当に村職員及び住民の尊厳を傷つけ、最悪の場合、回復不能な肉体的、精神的な被害をもたらし、ひいては人材の喪失、行政の停滞を招くことになり、更には議員への村民の信頼を裏切ることになりかねない。南山城村議会は、議員及び議会としての役割を十分発揮するため、互いに人格を尊重し、相互信頼を深めることを通じて、ハラスメントの防止に努め、信頼される議会の実現を目指すことを決意し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、議員及び村職員の間のハラスメントを防止するための措置を講じ、全ての議員が個人としての尊厳を尊重され、良好な職場環境を確保することで村政の効率的運用に寄与し、もって信頼される議会の実現に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「ハラスメント」とは、次の各号に掲げるものをいう。

(1) パワー・ハラスメント 議会、職場又は地域における優越的な関係を背景とした言動であって、議会活動、議員活動又は選挙活動(準備活動を含む。)その他の政治活動(以下「政治活動等」という。)上必要かつ相当な範囲を超え、当該言動の相手とされた者(以下「相手方」という。)に対して精神的若しくは身体的な苦痛を与え、人格若しくは尊厳を害し、又は勤務環境が害されるものをいう。ただし、客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示及び指導については、パワー・ハラスメントには該当しない。

(2) セクシャル・ハラスメント 政治活動等における性的な言動であって、同性、異性を問わず、相手方に対して不快感を与える行為若しくはその行為によりその者の勤務環境を害し、又は勤務条件に不利益を与えることとなる行為をいう。

(3) マタニティ・ハラスメント 妊娠したこと、出産したこと若しくは妊娠若しくは出産に起因する症状により勤務することができないこと等を理由とする言動又は妊娠、出産、育児若しくは介護に関する制度若しくはその措置の利用に関する言動によりその者の勤務環境が害されることとなる行為をいう。

(4) その他のハラスメント 前3号に類する相手方に対する誹謗中傷、事実に反する風説の流布その他の嫌がらせとなる言動であって、日本国憲法が保障する思想の自由、表現の自由等に配慮しても、なお、一般に許される限度を超え、身体的若しくは精神的な苦痛を与え、又は相手方の生活環境等を害するものをいう。

(村議会議員等の責務)

第3条 議員は、村民の代表者として、権能及び責務を自覚するとともに、常に高い倫理意識を持ち、ハラスメントが個人の尊厳を不当に傷つけ、人権侵害に当たること及び村職員の労働意欲を低下させることを自覚認識し、議員間又は村職員の人格を尊重してハラスメントをしてはならない。

2 議員は、議員によるハラスメントがあると疑われたときは、自ら誠実な態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明確にしなければならない。

3 議員は、ハラスメントがあると疑われる事態に遭遇したときは、当該議員に対し厳に慎むべき旨を指摘し、解決するよう努めるとともに、議長に当該事態について報告しなければならない。

(啓発、研修等)

第4条 議長は、議員によるハラスメントの根絶及び防止を図るため、必要に応じて実態を把握するための調査を実施するとともに、議員に対し必要な研修等を年1回実施しなければならない。

(相談窓口の設置)

第5条 議長は、ハラスメントに関する申出及び相談に対応し苦情等の円滑かつ公正な解決を図るため、議会事務局にハラスメント相談窓口を置く。

(事実確認等)

第6条 議長は、前条の規定により、ハラスメントに関する申出があったときは、必要に応じて申出者、当事者又は関係者等に対して事情聴取及び事実確認を行い、公正で客観的な立場から問題の処理及び解決を図らなければならない。

2 議長は、その解決策を協議するため必要に応じて審査委員会を設置できるものとする。

3 審査委員会は、ハラスメントに関する審査申出があったときは、誠実にその問題を解決しなければならず、当該苦情に係る事実確認を行い、その解決策を協議する。

4 審査委員会の構成については、南山城村ハラスメント対策委員会と南山城村議会と協議の上、定める。

5 議長は、村職員が関係するハラスメントに関する申出があったときは、村に対し事実確認のための調査を求めるものとする。

(対応措置)

第7条 議長は、前条の事実確認等の結果、議員によるハラスメントを確認したときは、当該議員に対して指導、助言、注意又は氏名の公表等の必要な措置を講じなければならない。

2 議長は、前条の事実確認等の結果、村職員による議員へのハラスメントを確認したときは、村に対し当該職員への指導、助言、注意その他改善のために必要な措置を講じることを求めるものとする。

(議長職務の代行)

第8条 議長が調査の対象になったときは副議長が、議長及び副議長が共に調査の対象になったときは年長の議員が、この条例に規定する議長の職務を行う。

(被害者等のプライバシーの保護)

第9条 議員は、ハラスメントによる被害者及び関係者のプライバシー保護に十分配慮し、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

(施行期日)

1 この条例は、令和6年4月1日から施行する。

(検討)

2 議会は、この条例の施行後3年以内に、この条例の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

南山城村議会ハラスメント防止条例

令和6年3月8日 条例第15号

(令和6年4月1日施行)