南山城水害の記憶
- 更新日:2025年5月1日
- ID:2947

南山城村の過去の被災体験
南山城村では、村民の安心・安全な暮らしを守るため、地域防災の取組として、河川の浚渫や道路の整備など、公共事業を計画的に実施しています。
特に総面積の約半分が森林で占める南山城村では、過去に昭和28年大規模な災害を経験し、山地に起因する災害の未然防止を図るため、治山事業など緊急性の高い危険個所を調査し、関係機関や地権者と協議して、積極的に取り組んできました。
自然を相手にして、災害に強い村づくりにゴールはありません。災害に強いむらづくりを目指して取り組んでおりますが、広大な山地を抱えるなかで、自然災害の脅威すべてに対応するための備えは困難な状況です。

過去の災害から学ぶこと(「集中豪雨」のことばがうまれた災害)
南山城村で昭和28年(1953年)8月14日から16日にかけて、京都府南部から三重県西部にかけこの地域を激しい豪雨が襲いました。
当時の南山城村(当時は合併前で大河原村、高山村)では、この豪雨により洪水や大規模な土石流が発生しました。その被災した地域をさらに9月に発生した台風13号が襲いました。
私達が、現在よく耳にする「集中豪雨」という用語が、初めて公に使用されたのは、京都府の木津川上流域(山城南部、滋賀、奈良、三重)で発生した雷雨性の大雨(南山城水害)を、昭和28年8月15日朝日新聞夕刊の記事で報じられた際に使われたとされています。

当時の発災状況を報じる当時の新聞紙面(朝日新聞 夕刊 昭和28年8月15日第1面)

(引用元)朝日新聞社 大阪版 夕刊 掲載日 昭和28年8月15日 第25859号第1面
未明のからの豪雨により、河川の氾濫や土石流により各地が流失していることや、交通や通信が遮断され被災地域と連絡が取れず、被災実態の把握が困難を極めている状況などが報じられている。また災害救助法が発動されたことも伝えている。

集中豪雨による被災状況を報じる当時の新聞記事(朝日新聞 夕刊 昭和28年8月15日 第2面)

(引用元)朝日新聞社 大阪版 夕刊 掲載日 昭和28年8月15日 第25859号第2面
第2面には「寒冷前線が京都、滋賀、奈良県境にあたる木津川上流に集中豪雨を降らせ」と三重県柘植・伊賀地方を含め降った豪雨について、「集中豪雨」として当時の被害状況が報じられています。

当時の発災状況を報じる当時の新聞紙面(朝日新聞 朝刊 昭和28年8月16日 第7面)

(引用元)朝日新聞社 大阪版 朝刊 掲載日 昭和28年8月16日 第7面
南山城水害による木津川上流域(京都、滋賀、奈良、三重)の4府県に跨がる大規模な広域災害の発生について、当時の被災状況が詳しく報じられています。

南山城水害について
この集中豪雨は、近隣の笠置町、和束町、木津川市や綴喜郡井手町など、相楽・綴喜地域で甚大な被害を発生させ、南山城水害と呼ばれています。
南山城村では、死者、行方不明者54名、負傷者95名、流出戸数45戸、全壊62戸、半壊90戸、浸水265戸、農地被害(流出・埋没)228haを出しました。この南山城水害(相楽地区・綴喜地区)では、当時の被害総額で、150億円といわれ大災害として、記録に残る災害となっています。
幸いにして、近年は、昭和28年災害に匹敵する災害は、発生しておりませんが、集中豪雨や大規模な地震など、自然災害は時と場所を選ばず、全国各地で大規模な災害が発生しております。
昔から「災害は、忘れた頃にやって来る」と言われていますが、日頃から、ひとりひとりが、大雨、台風、地震により発生が懸念される災害を想定し、災害発生時には、どのような対応が必要になるのか、予め確認・準備していただき、防災の備えとして取り組んでいただくことが重要です。
当時被災された方々の苦難や復興にご尽力された方々(先人)から学ぶことはおおいにあります。

○ 南山城水害記念碑

南山城水害の被災状況を後世に伝えるため建立された碑
昭和28年8月14日日没より降り始めし雨によるとともに益勢(ますいきおい)を増し雷鳴天地を揺るがし雨量刻々に増大し夜半に至りては稀有(けう)の大豪雨となりついに翌15日未明山津波と激流は家屋を埋没流失せしめ一瞬にしていく他の尊き人命を奪い而(しか)も祖先伝来の田畑は砂礫の河原と化し道路は寸断され交通通信は全く途絶し惨状人をして目を蔽(おお)はしむ実に本村未曽有禹の大災害たり為に村民の生活は根底より覆され永年の平和郷も荒廃その極に達せり爾(なんじ)来三星霜能くその廃墟より立ち上がり営々苦心の結果復旧の功漸(ようや)くその半ばに達せる今日茲(ここ)に記念の碑を建立し災禍の惨状を記して後世に遺さんとす
昭和31年8月15日建立

当時の被災状況
当事、村内全域で中小河川が氾濫し、谷合では土石流が至る所で発生、道路、鉄道等が寸断され、交通手段もなく支援を受けることも困難な状況でした。当時の被災した写真の一部を掲載しています。

被災した大河原駅の上空からの写真

木津川の氾濫により流されてきた立木、土砂の堆積した様子

至る所で土砂災害が発生した山の様子(空撮)

北大河原押原地区(浅子川の氾濫)の被災状況(下流側は写真上部、南方向)
現在は、写真上部の左から右へ(東西方向)国道163号線が整備されています。

南大河原地区でも激しい土石流が発生
お問い合わせ
南山城村総務財政課
電話: 0743-93-0102
ファックス: 0743-93-3030
電話番号のかけ間違いにご注意ください!